現在、シャコンヌとカノンには、大変古くて貴重な楽器が数多くあります。中には非常に状態の良い、骨董品的価値の高いものも多くありますが、その他の多くは割れや板の摩滅、虫食い、変形など、修理・修復の必要なものです。

特に、ニスはオリジナルが充分に残っていることは少なく、後世に塗られた色ニスや透明ニスによってカバーされています。そのような楽器は、本来の名器が持つ繊細な音色、豊かな響きを出すことができません。

オリジナルでないカバーニスを取り除き、板の音程パターンを整えることによって、本来の名器によみがえります。また、オリジナルニスが少ない場合、最近発見したベネチアン・テルピン油によるニス(クレモナのオールドニスにほぼ同じと考えられるもの)を少しでも足すことによって、生き生きとしたオールド名器の音が再現されます。

同様に、木工部分の修復も、板の音程に注目することによって正しく行われます。過去に、音響理論を理解しないで修復された楽器を、少しでも正しい状態にして”生きた楽器”にする仕事は、時間のかかる大変困難なものですが、最もやりがいを感じる仕事でもあります。