梅雨から夏にかけては、修理、調整の問い合わせが増える時期です。その理由として、高い湿度、気温が挙げられます。
今年の関東地方は、5月からあまり良い天気の日が無く、例年以上に湿度が高い日が多いように思います。そこで東京店も、いつもより早い時期から除湿機を使用し始めました。6月になり本格的に梅雨に入ると、各部屋にある除湿機はフル稼働です。約半日で一杯になってしまうほど湿度が高く、除湿機が止まってしまうと、あっという間に湿度は70パーセントを超えてしまいます。
こうなると気が気ではありません。過去に商品のネックが下がってしまったことがあるからです。楽器が鳴らなくなってしまい、修復するのに非常に大変だった事を記憶しています。
湿度が高くなり起こる現象はまだあります。それは膠(ニカワ)の剥れです。膠は水を加え湯煎することによって溶け、冷えると固まるという性質を持っています。ヴァイオリンは膠を接着材として使用しているので、湿度が上がり、膠が柔らかくなると接着の甘い部位や、膠が古くなってもろくなっている部位などが剥れてしまうことがあります。車内に楽器を放置してバラバラになってしまう理由も上記の膠の性質によるものです。気温が高い日は膠が溶けてしまうほど車内温度が上がるからです。
上記以外にもトラブルは考えられます。楽器を守るためにも除湿機やエアコンを使用し、できるだけ快適な環境を維持するよう心掛けてみてください。
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先日、社長の窪田が東京店にてEnrico Roccaのチェロを調整しました。
まず、最初に駒の調整から取り掛かりました。駒を削って楽器の強さに合わせていきます。(楽器、駒を叩いてその音程をチェックしていきます。)強さを合わせたところで一度音を出してみたのですが、満足な結果が得られませんでした。
原因はカバー二ス(修理箇所を隠す、光沢を出す等の理由によって上から塗られた二ス)です。カバー二スの多くは硬い材料が使用され、塗られた部分はオリジナルの状態より音程が高くなっています。このカバー二スを、ボディのどこを叩いても同じ音程(強さ)になるようにとっていくことが必要です。これは非常に高度な調整方法で、豊富な経験とそれに基づく勘、そして根気が不可欠だと窪田は言っていました。
ニスを取りながら各部の音程をチェックしていきます。その都度、楽器を弾いて音のチェックをしていきます。ほんのわずか二スを取っただけでも目まぐるしく音が変わっていきます。どこをどうすればこうなる、ということが解っていないと出来ない仕事です。
最後にもう一度駒を調整して完成です。調整後の音を聴き、Roccaという楽器はこれほどすごい音がするのかと皆とても驚きました。
間近でこのような仕事を見ることができた事を、今後の仕事に生かしていきたいと思います。 |